カオス(Χάος)とは、ギリシア神話に登場する原初神である。
この世が始まったとき最初に無の空間に誕生した神で、混沌を神格化したもの。一人でガイア(大地)、タルタロス(暗黒)、エロス(愛)、エレボス(暗黒)、ニュクス(夜)といった神々を生んだ。
カオスと同時にガイアとタルタロスが生まれたという説もある。
また、混沌、無秩序を意味するカオスは、コンピュータの発達により「決定論的システムが作り出す予想不能のふるまい」として認知され、 数学、物理学、化学、経済学など、全ての学問体系に影響を及ぼしている。
原義は大きく開いた口、空っぽな空間の事だったらしい。
タルタロス(奈落)
タルタロス (Τάρταρος)はギリシア神話の神。奈落の神、かつ奈落そのもの。
神統記に拠れば、カオス、ガイア、エロスとともに生まれた、原初の神の一人である。女神ガイアとの間にテュポンという息子がいる。アポロドロスに拠ればエキドナも彼とガイアの娘である。
冥府ハデスのさらに下方に有る。天と地の間の距離と同じだけ、大地からさらに低いところにある(その距離というのは、具体的には、上端から下端へ真鍮の金敷きを九昼夜落とし続けて十日目に下端につく距離)。
霧たちこめ、神々ですら忌み嫌う淀んだ空間。ポセイドンが青銅の門を作り、その周りは青銅の壁で覆われているため、何者も逃げおおすことはできない。仮に人間がこの門の中に入ったとしたら、一年がかりでも底にたどり着けない。かえって、神々が怖れるほどの苛烈な暴風で吹き飛ばされてしまう。
はじめ、ウラノスやクロノスがヘカトンケイル族やキュクロプス族を幽閉するのに使い、カンペーに番人をさせていた。のち、ゼウス達が彼らを解放しティタン族を打ち倒すと、ティタン族が幽閉される番となり、ヘカトンケイル族がその牢番となった。他にテュポーンもここに投じられたと言われている。
後世、たとえばプラトンなどではただの地獄として扱われるようになった。
エレボス(暗黒)
エレボス(’Έρεβος)とは、ギリシア神話に登場する神。 原初の幽冥を神格化したもの。
また、地下の暗黒の神でもあり、しばしばタルタロスと混同される。
ニュクスの兄弟にして夫で、彼女との間にヘメラとアイテルをもうける。
ニュクスとヘメラが昼と夜の表裏一体であるように、エレボスと息子のアイテルも、地下の暗黒と上天の光明という表裏一体をなす。
ニュクス(Νύξ)
ニュクス(Νύξ)とは、ギリシア神話に登場する夜の女神。
カオスの娘で、エレボスの姉妹にして妻。エレボスとの間にヘメラとアイテルをもうける。 また、一人でヒュプノス、タナトス、エリスなどの多くの神々を産んだ。
娘のヘメラ(昼)とは表裏一体をなす存在で、世界の西の果ての地下に館を共有している。ニュクスが世界を巡って夜をもたらしている間はヘメラがここに待機し、ヘメラが世界を巡って昼をもたらしている間はニュクスがここに待機している為、二人が共に館にいるのは、昼と夜の境目の一瞬だけである。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』