セロトニンはヒトを含む動植物に一般的に含まれる化学物質で、トリプトファンから生合成される。人体中には約10mgのセロトニンが存在しており、そのうちの90%は小腸の粘膜にあるクロム親和細胞(EC細胞とも呼ばれる)内にある。クロム親和細胞はセロトニンを合成する能力を持っており、ここで合成されたセロトニンは腸などの筋肉に作用し、消化管の運動に大きく関係している。また、ここで合成されたセロトニンの一部(総量の約8%)は血小板に取り込まれ、血中で必要に応じて用いられる。
残りの2%のセロトニンは中枢神経系にあり、これらが人間の精神活動に大きく影響している。日常生活から、鬱病や神経症などの精神疾患(無論全てではない)に至るまでセロトニンの影響が注目されるようになり、近年では、セロトニン系に作用する薬物を用いることによって、これらの疾病を治療することができるようになった。
このため、欧米で主流であったフロイト流の精神分析治療は衰退を余儀なくされ、精神分析が科学として学問として成り立つかどうかの段階にまで心理学の分野でパラダイム変換が起こっている。
また、日本ではセロトニンはその効果の大きさから、疑似科学や代替医療の用語としてもしばしば登場する。幻覚を起こすリゼルグ酸ジエチルアミドはセロトニンの作用を阻害する
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