アニミズム(Animism)はすべてのもの(生物・無機物を問わない)の中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方。19世紀後半、イギリスの人類学者、E.B.タイラー卿が定着させた。日本語では「汎霊説」などと訳されている。
霊的存在が肉体や物体を支配するという精神観、霊魂観は、世界的にひろく宗教、習俗の中で一般に存在しているため、かつては原始的な未開社会のものであると考えられた。レヴィ・ブリュールの『未開社会の思惟』など、民族学や文化人類学の南太平洋(トロブリアン島)やアマゾンの先住民の思考を参照のこと。
汎神論
汎神論(はんしんろん=pantheism)とは全ての物体や概念・法則が神性を持つ、あるいは神そのものであるという(神を擬人化あるいは意思のある存在としてだけで捉えない)思想・見解のこと。
英語のpantheism、ギリシア語のpan(=全て)とTheos(=神)を語源にする語で、文字どおり「全ては神」で「神は全て」である事を意味する。
万物に神性が宿るならば神性の有無を論じるのは無意味であって無神論と分類される場合も少なくない。汎神論を否定する理由としては、森羅万象を神と定義づけてしまうと人間の中にも神が宿っていることとなり(実際、神道において神と人の境界は曖昧である)、それは即ち人間が犯す罪は神が犯した罪ということになるためであるとされる。一神教にとっての神を唯一無二の存在(唯一神)であるとするためには、人間を含む自然界を超越した存在でなくてはならないからだ。
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